前回記事『ユーザー車検のススメ(その2)』の続きです。
車齢が3年程度の国産車ならともかく、一度もお世話をしたことがない、車齢が10年近く、またはそれ以上の国産車や輸入車を
「このクルマの車検っていくらかかる?」
というお問い合わせが、僕は一番難しく思います。今までのメンテナンス暦のわからない車を点検し、その歴史を把握するのには時間が掛かります(点検整備記録簿は頼りになりません)。さらに、不適切な修理が施されている場合などは、適切な状態にするために多大な時間と労力が掛かる場合が少なくありません。
車検に際して、
「僕のクルマの自賠責保険料と重量税はいくらですか?」や
「初めて診てもらうクルマなんだけど、一通り点検してもらうにはどれくらいの費用と時間がかかりますか?また、いけない部分があったとして、整備してもらうとしたらどれくらいの金額になりますか?」というご相談でしたら丁寧にお答え(お応え)いたします。
車検(継続検査)と点検整備は全く別の事柄であるということ、また、それらは全て本来は車検証に記載された使用者が実施する義務があるということは既に述べました。
そして、法律で2年サイクルと決められているから2年ごとにまとめてメンテナンス(いわゆる車検整備)するのが一般的になっていますが、クルマという機械にとって、2年周期でぴったりとメンテナンスサイクルが訪れる部位などほとんどありません。
もっと短い周期で(3ヶ月に一度とか)定期的にプロが点検整備し、各部位に適切なサイクルでメンテナンスする。そして、車検の時期には継続検査という「関門」をユーザー自身で通過する。そうすることが費用負担を分散し、クルマを長持ちさせる最良の方法です。
最近の国産車はとてもよく出来ていて、年間走行5000キロ程度であれば、ほとんどの場合全くのノーメンテナンスで7年は調子よく動きます。ノーメンテナンスのクルマは人間で言う生活習慣病のように機械内部が蝕まれています。自覚症状がないのもよく似ています。7年を越えて、調子を維持することは著しく困難で、手の施しようのない場合がほとんどです。
7年で新車に乗り換えるというのであれば、それも選択肢です。しかし、新車の車両本体は決して安いものではありません。定期的継続的なプロのメンテナンス+ユーザー車検が長期的には大きな費用抑制になることは明白だと思います。
ユーザー車検の具体的な受検方法は是非ご相談ください。
(「ユーザー車検のススメ」 終わり)
おさむ says
ご無沙汰しております。
先般はオイルと水の件で質問させていただいたおさむですm(__)m
クーラントは会社勤め先に廃水処理の設備がありますので垂れ流しはしていません。ご心配おかけしました…
ユーザー車検は普段、足に使っている軽自動車で受けています。確かに車検を受けるだけならば え!?これでいいの!なんですよね…まあ、軽検協は陸運局から見ると甘い部分はあるかもしれないです。地域性もあるでしょうが、これで車検に通るのか…という車もあってびっくりしました。
ユーザー車検を受ける様になって実感したのは、同じユーザー車検を受ける方々の車を見てると両極端だなあと思います。車齢を感じない位にビシッとしてるか、ただお金を掛けないでいるか…僕の見る限りでは半々ですね。
車屋さんの儲けは実はそんなにない事を知らない方はたくさん居るのは残念ですよね。たけしさんの様に色々なアドバイスをしてくれる車屋さんがもっと増えて欲しい今日この頃です。
たけしさんの更なる活躍を期待してます。
赤ラウムのオーナー says
昨日は、ラウムの点検でお世話になりました。本当にありがとうございました。いろいろとご無理申し上げ、申し訳ありませんでした。
早速名古屋との往復300キロを走ってきました。たけしさんの丁寧な整備で眠っていた力を発揮できるようになり、快適に乗れるようになりました。
なぜあんなディーラーで買ってしまったのか、後悔はぬぐえません。たけしさんのところで購入していたらこのような哀しい思いにならなかったと思います。
ただ、気に入って購入した車です。少しでも長く快適に乗れるように、これからもずっとたけしさんに整備をお願いしたいと思います。
また近いうちにお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
たけし says
おさむさん、こんにちは。
おさむさんはユーザー車検経験がおありなんですね。
僕は常々思っているのですが、今までの自動車屋は隠蔽体質に過ぎるところがあったように感じています。
車検は本来ユーザーで受けに行くべきもので、おさむさんも感じていらっしゃるように点検整備さえきっちりしておけば簡単なんです。
僕はプロの整備士でしかできない仕事に重点を置きたい、限られた時間の使い方をシフトしていきたいと考えています。
応援メッセージ、大変励みになります。ありがとうございます。
たけし says
赤ラウムのオーナー様
昨日はご用命ありがとうございました。
数時間、寒い作業場でお付き合いいただき感謝しております。
ディーラー保証のついた認定中古車と言われるものでも、手を入れる人間次第でひどい状態になることを実感いただけたかと思います。
また、ご来店直近に大きな看板を掲げているタイヤショップにタイヤ交換を依頼されていたようですが、
空気圧をバラバラに充填する
ホイールナットを締め付けすぎている
など、超がつくほど初歩的な作業に不十分さが認められたことは僕自身が残念な思いを抱きました。
高級車、大衆車、国産車、輸入車いろいろありますが、基本は同じです。
ラウムも、本来のパフォーマンスが発揮できる状態になって本当によかったと思います。
今後ともよろしくお願いします。
KY says
このたびはレガシィの整備でお世話になりました。KYです。
自分は車は買い物やキャンプやスキーへ行くための移動・運搬の道具という意識なので、「くるま好き」とは言えません。しかし道具(くるまに限らず)に対しての関心(愛情?)や責任感は常に持っていたいと思っています。くるまの保有については、日常点検と車検(継続検査)は自らの責任で行い、本格的な整備はプロに任せるというのが、自分なりの線引きです。
京都へ引っ越してきて、旧知のたけしさんが整備士をやっていると聞いていたので、前回の車検時(この時は休みが取れなかったので、20年ぶりに継続検査もプロに代行していただきました)からお世話になっています。そして、前回の整備の結果はとても満足できるものでした。
実はこれまではプロに依頼する整備内容も、都度自分の判断で、アラカルトでお願いしていましたが、たまに総合検診してもらうことが、気持ちよく車に乗るために意味があるなぁと、前回の車検時にあらためて感じさせられました。これももちろんたけしさんのような、本当の意味でのプロの整備士にお願いすることができたからこそ、明確に感じられたのだと思います。
今回も「継続検査の代行費用だけ浮かすとはケチ臭い」と思われても仕方のないところですが、それを「ユーザー車検のススメ」という記事にして下さるところなど、やはり普通の整備士とは意識が違うと、感服しています。
整備していただいた車はやはり「風呂上り」のような気持ち良さで、東京への帰省を無事こなしてきました。今週末は岐阜へ家族でスキーに行ってきます。
これからもお世話になると思いますので、よろしくお願いします。
たけし says
KYさん、この度は僕にとって貴重なご用命、誠にありがとうございました。
また、整備後のお車が好調なようで何よりです。
自動車整備業界では車検の価格競争が激化し、顧客の争奪戦ともいえる状態になって久しいのですが、
車検の本質から遠ざかり、車に対する顧客の関心も車検総費用以外に向けられにくくなっている現実をとても悲しい思いで受け止めています。
そんな時代にあって、KYさんは、今回のご用命でプロの整備士としての僕の役割を明確にしてくださいました。
一連の記事で自分の思いを少しは反映できたかなと思います。
コメントでは僕が整備するとはっきりと調子がよくなったと感じていただいているようで本当にうれしく思います。
しかし、とりたてて特別なことはしていません。しなければいけないメンテナンスを適切な手順と方法で行っているだけです。それらの積み重ねが、よいフィーリングになって現れてきていると思います。(メルマガの記事でも少し触れましたが、簡単に装着、または注入することで継続的に調子のよくなる品物は車の場合ほとんどないと言ってよいかと思います。)
今後ともよろしくお願いします。