スズキ ワゴンRです。初期型のCT21Sになります。オイル交換の目安距離(3,000km)未満でエンジンオイル油圧警告灯が点灯するようになった車両です。
平成7年式 E-CT21S F6A 3AT 走行距離110,000km
症状からバルブステムシールの不良でオイル下がりを起こしていると判断し、シリンダヘッドのオーバーホールも兼ねて作業をご提案させていただきました。
バルブカバーを開けます。
オイル管理があまりよくなくて、シリンダヘッド内部はスラッジで覆われています。カムシャフトの摺動部分以外は真っ黒で清掃作業が大変そうです。
排気回りのボルトは肉痩せしていて、離脱が困難なものが多く、部分的に破壊するしかありません。
一連の作業でもっとも神経を使う場所かもしれません。もちろん排気回りのボルトナット類は新品を用意します。
さて、シリンダヘッドの燃焼室側です。
エンジンオイルの激しい燃焼の痕跡があります。特に排気バルブは白っぽいオイルの燃えカスがこびりついています。
バルブを軽くすり合わせます。バルブシートがひどく荒れていますので、シートの当たり幅が基準以上にならないように適度にすり合わせます。
この作業はいくら時間が掛かってもエンジンの調子を上げるには必須です。つやが無くなっている左側の吸気バルブシートがすり合わせ途中のものです。
バルブも燃焼室も清掃し、綺麗になりました。ホットスポットがすっかりなくなりますので上死点前異常燃焼の防止になります。
ステムシールの打ち替えです。スラッジで黒く変色し、プラスチックのように硬化しています。
挿入工具としては9mmのソケットがぴったりでした。
シリンダヘッドボルトは均等に数回に分けて規定トルクで締めこみます。
バルブクリアランスを基準値狭い側に調整し、綺麗に組みあがりました。F6Aってこんなに静かなエンジンだったんですね。
今回のエンジンはオイル管理があまりよくありませんでしたので、ピストンリングスティックも心配です。費用の関係で今回はシリンダヘッドのみとなりましたが、今後の経過を観察していこうと思います。
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おさむ says
はじめまして。いつも楽しく見せて貰っています。 インターネットを閲覧していると今回の様に内部がスラッジで黒いエンジンがたまに見られますが、これってオイルはどの位のサイクルで交換すればこのようなエンジンの状態になるのですか?変な質問で申し訳ないないです。
スズキのF6Aはタイベルが弱い印象があって個人的にあまり印象の良くないエンジンなんです…が、まだまだ沢山走っていますね。
私事で恐縮ですが、オイル交換はガソリンの消費量に応じて交換してます。距離は確かに目安にはなるんですが、アイドリングの時間が長いとエンジンに厳しいですし、私としてはあまり長いサイクルで交換するのはどうかなあ…と思ってます。大体、距離だと三千キロ前後になるんですが気分的にいいので(笑)
たけし says
おさむさん、はじめまして。
コメントいただいて、とても嬉しいです。
さてご質問の件、
おそらく廉価なオイルを1万キロ以上の交換間隔だったように感じます。
スラッジの原因はベースオイルの酸化重合と思われがちですが、各種添加剤が変質したものと考える方が素直だと思います。ベースオイルのせん断や重合はそう簡単には起こらないそうです。
添加剤を少なくできる良質の鉱物油やVHVIなどが重宝されている理由はここにあると思います。
ブローバイガスに含まれる窒素酸化物(NOx)も水分と混じると硝酸になり、酸化促進させますのでブローバイ低減の努力がエンジン開発ですすめられているのもエンジンオイルのロングドレーン化の流れの一つですね。
おさむさんがされているようにガソリンの消費量を目安にするのはとてもよい管理の方法と思います。
エンジンが多少でも稼動していれば酸化劣化は避けられませんので低走行車は単純に時間(日数)で管理してもよいと思います。
おさむ says
お返事ありがとうございます。確かにそれだけ走れば江戸むらさきになるかもしれないですね?
いつも丁寧に整備内容を解説して下さってて、私のような素人でもある程度の車に対する知識が深まり、とても助かっています。
質問続きで申し訳ないですが、私は車の冷却水(クーラント)は毎年夏に自分で交換しています。ちょっと古い車なので今流行りのスーパークーラントではなく、ホームセンターにある濃縮タイプを使用しています。
トヨタ・ダイハツは赤色 それ以外のメーカーは緑色なんですが、あれは何か違いがあるのでしょうか?
(冷却性能とか)
色が違うだけだよ?と話す方もいますがいまいちよく解らないです。よかったらご教授いただけますか?
よろしくお願いいたします。
たけし says
おさむさん、こんにちは。
ロングライフクーラントですね。
まず、スーパークーラントは除外して緑と赤の違いですが、一般的には着色料の違いだけとお考えになられて差し支えないかと思います。
主成分のエチレングリコールは無色透明です。
赤系も緑系も蛍光着色とそうでないものがあってリーク時の発見の容易さから蛍光着色のものを使用する向きもあるようです。
クーラント交換の主目的は防錆性能の回復にあると思います。詳しくは知りませんが、防錆剤というものは金属よりも酸化しやすく、防錆剤自体が酸化することでその役目を終えると聞いたことがあります。
したがって添加量がそう多くない防錆剤は徐々に減少し、防錆性能は案外早く低下すると考えています。
当然高温に晒されている時間が長いほど化学反応は促進されますから特に最近のスーパークーラントの交換には期間の他に距離も目安にされているのでしょう。
劣化したクーラントは水路の金属を腐食させるばかりでなく、ラジエータの樹脂タンクや樹脂ジョイントなど、熱硬化性樹脂の劣化を早めるような気がします。
おさむさんは年に一度交換されていて車にとってはとても良いと思います。しかし、ご承知のとおりロングライフクーラントは環境負荷の高い物質ですので廃液処理は適切にされることを望みます。
L502Strxx says
大変怖いことになっていますね。適正な交換は他のところにも良い影響を与えるようですね。また一つ勉強になりました
たけし says
適切に交換されていない液体は生活習慣病のように機械を蝕みます。
症状が現れたときは手の施しようがない場合も少なくありません。
車検時など、調子がいいから何もしなくていいとおっしゃるユーザー様にこの点、ご理解いただくのが大変苦労する箇所であります。
L502Strxx says
誰もが信用できる客観的なデータが僕個人としては欲しいと思います。ヘッドカバー空けて頂いた時にはじめてヒヤッとさせられた記憶があります
牛タン says
始めまして、北海道の牛タンと申します。質問なんですが宜しくお願いします。
今年中に現行かその前のエブリィバンMT(4WD、タイベルチェーン)をネットで買いたいと思うのですが、何処に注意をして選べばいいですか?教えて貰えれば心強いです。お願いします。
たけし says
牛タンさん、申し訳ありませんが、ご質問の回答はそう簡単にお伝えできる内容ではありません(出し惜しみではないです。誤解しないでくださいね)。
あまりにもたくさんの項目があり、それらを総合的に判断して中古車を選びます。
第六感的なモノも、もちろんあります。
信頼できるプロに現車確認してもらうのが確実と思います。
牛タン says
返答ありがとうございました。
分かりました。
知り合いの修理工場に探して貰いますね。エブリィを買って分からない事があればまた、お願いします。
牛タン says
返答ありがとうございました。
参考になりました。
エブリィを買う時は知り合うの修理工場に頼もうと思います。ちなみに今は車検が残っている12年の14万kmのライフを乗ってます。
また、分からない事があれば宜しくお願いしますね。