ダイハツ ハイゼットトラックです(いきなりエンジン降りてます)。お客様からラジエータがパンクしてオーバーヒートしたと連絡が入りました。
平成3年式 M-S82P 走行距離15,000km
ほとんど車庫に置いたままになっているお車です。このような低走行の車両こそ、定期的で入念なメンテナンスが必要です。
ところが、お客様にご説明申し上げても、「ほとんど動かしていない車だから、交換部品、油脂類は必要ない」と、ご理解が得られないまま今日に至りました。
ひどく腐食した水周りです↓
走行距離にかかわらずLLCを定期交換することの重要性がわかります。昭和年式の車でもLLCの定期交換(希釈水にも注意が必要です)しているものは全く錆びません。
入庫したときはラジエータキャップの付くフランジが吹き飛んで、大量にLLCが飛散してました。
ファンベルトは跡形もなく、細かく粉砕されたゴムがタイミングベルトカバー付近に付着してました。
この状況から、新車のときから一度も交換されていないVベルトが経年劣化+プーリーの錆でベルトが破断、ウォーターポンプが回らずにオーバーヒート → そのまま走行 → ラジエータがパンク
という過程だったと察します。
水を入れてエンジンを掛けると、アイドリングでもボコボコと排気ガスがラジエータに吹き返すひどいガスケット抜けの状態で、シリンダヘッドが歪んでいるのは明白。
追加の問診で、出先でエンジン始動をしようとセルを回そうとしても、引っかかった感じで回らなく、しばらくすると回ったとおっしゃっていました。相当過熱していたと思います。(そのとき水温計は振り切っていたそうです。)
水温計が振り切った状態で走り続けたのでこのような状態になったのですが、歪んでいる証拠をご提示差し上げるため、エンジン分解となりました。
結果、シリンダヘッド下面歪み最大0.10mm。
面研必須で費用を見積りますと高額な修理となり、廃車のご判断でした。
とても残念な思いをした故障事例でした。
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