最近エンジン警告灯が点灯するときがあるが、体感不調はない とのことでお預かりしたダイハツ ムーヴです。
平成20年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 100,000km
早速簡易スキャナーでエラーコードを調べるとP0325 ノックセンサ系統を示しました。
ノックセンサは、エンジン内部で発生するノッキング(異常燃焼)を検知するセンサーです。よく間違われることがあるのですが、ノッキングとはエンジンの「カラカラ」という金属音のことで、車がギクシャク動く様子ではありません。燃焼室内で混合気が正常な点火タイミング以外で自然発火した結果、ピストンが上昇行程で反対向きに力を受けて首を振り、シリンダ壁を叩くのです。
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ノックセンサの主な役割は、このエンジン内部の異常振動を検知し、エンジンコントロールユニット(ECU)が点火タイミングを調整してノッキングを防止することです。ノックセンサの異常を検知すると、ECUは点火タイミングを遅らせる(リタード)方向に制御します。これはエンジン出力を若干犠牲にしても安全を優先する設定です。最適な燃費性能と出力を維持しながら、エンジンを保護する重要な役割を果たしています。
ノックセンサが機能しない場合、ECUは予め設定された安全側の点火タイミングに切り替えます。警告灯が点灯しても体感不調を感じない理由として、フェイルセーフモードに入る上、通常の市街地走行では、元々ノッキングが発生しにくいため、センサーの異常による影響が表面化しにくいからかもしれません。
警告灯が点灯している状態で走行は可能ですが、長期間放置すると燃費悪化やエンジン負担の増大につながる可能性もありますので、早めの処置が理想ですね。
下の写真のようにシリンダブロックに直接取り付けられるノックセンサは、このムーヴのエンジンの場合、少し面倒な場所に設置されています。
横置きエンジンのバルクヘッド(乗員室とエンジン室の隔壁)側で、オルタネータやスタータに阻まれ、簡単な交換作業を許してくれないのです(下はノックセンサ取り外しのために離脱したオルタネータとスタータ)。
皮肉にも、こういった込み入った場所にあるノックセンサほど熱の影響が大きいのか統計的に不調が多く、次の日産のエンジンMR20DEのようにすぐ手の届く位置にあるタイプは滅多に不調にならないのです。
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