他工場で排気漏れ修理をしてもらったけれど、またうるさくなってきたということで入庫した三菱ミニキャブバン
平成5年式 U41V 3G83 走行距離154,000km。
サイレンサーに穴が開いているのをパテなどで適当に埋めて、それが脱落したんだろうぐらいに思っていました。
ところが…
触媒-マフラー間の合わせフランジから勢いよく排気漏れした跡がありますので、よく観察すると、本来2つのボルトナットが掛かっているのに一つしかありません。
一本は無理して取ろうとして折損したのでしょうか?
それはいいとして、折ったら折ったでなんとか抜き取り、穴を開けなおすことはそれほど難しい処置ではないのですが、乱暴にフランジを溶接した痕跡があります。
その溶接が今回外れたんですね。
折れたボルトはスタッドボルト。
排気系の焼きの入った折れ込みボルトは簡単には抜き取れません。
そうかといって大きな穴を開けてボルトナットで締結するのも芸がありません。
やはり、元に近い形で完成させたいものです。
とりあえずもう一本あるスタッドボルトも金属が疲労しているでしょうから2本とも交換することにしました。
フランジより飛び出た部分をディスクグランインダーで切り取ります。
ボルトセンターにポンチを打って、3mm程度のドリルで慎重に穴を開けていきます。
このとき、できるだけ高トルクのドリルを使うことと、こまめにドリルを研ぎなおすことが綺麗な仕事の近道です。
徐々に穴を広げていき、ようやくM8タップが挿入できるようになりました。
この時点でも相当体力を消耗しているのですが、これからが本番です。
ここでボルトナットを掛ければ、特に問題なく処置できたことになりますが、できるだけオリジナルを保ちたいというか、ベストを尽くしたい心理が働きまして、タップを立て、新しいスタッドボルトを挿入するという作業を選択しました。
さて、焼きの入った金属にタップを立てるのは至難の業です。
少しでも無理するとタップが折れ込んでしまい、後にも先にも進めなくなるからです。
アセチレンで炙りながらタップを立てる人もいますが、タップを熱で痛めてしまうので、僕はその方法をとりません。
ひたすら少しずつ、タッピングするのです。
相当根気が要ります。
コツは無心になることでしょうか。
少しでも変な力が入るとタップが折れます。
今回は2つのタップ穴を開けるのに4時間掛かりました。
多走行の車だったので、特に焼きが入っていましたね。
目標通り綺麗に修理を完了できてよかったと思います。