今年の夏も茹だるような連日の猛暑で、エアコン修理の台数は過去最高を記録しました。 正常に稼働しているエアコンでも車室容積の大きな軽自動車では冷房能力が不足気味なのに、少しの不調で全くエアコンが効かなくなると感じるほどです。 平成21年式 DBA-MK21S K6A CVT … Read More… about 炎暑下のエアコン修理 ~パレットMK21Sのエバポレータ交換と、昭和が遺したガスチャージャの記憶~
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イタリア車に見る基本構造の脆弱性(ワイパー作動不良、アルファ147セレスピード)
雨季に入って間もなく、運転席側のワイパーがグラグラしていて動作がおかしいと、アルファ147後期のオーナー様から連絡が入りました。 お天気が良くなったらお持ちくださいとお伝えし、ワイパーリンケージの不具合をWebサーチします。 平成18年式 GH-937AB ツインスパーク2.0L セレスピード … Read More… about イタリア車に見る基本構造の脆弱性(ワイパー作動不良、アルファ147セレスピード)
エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について(その2)
金属同士が擦れあうエンジン内部は、金属摩耗を完全に回避することはできません。 エンジン内部に循環するエンジンオイルは、金属同士の直接的な接触を低減し、摩耗を抑制する重要な役割を担います。 一番摩耗が起きるのは、冷間始動(コールドスタート)時です。 エンジンオイルがオイルポンプで吸い上げられ、エンジン各部に行き渡り、油圧が安定するまで早くても数秒は掛かります。 また、エンジンの各パーツは安定温度でクリアランスが適正になるような形状(熱膨張を考慮して冷間時に楕円やテーパーなど)になっていますので、完全暖機までは各部クリアランスが理想的ではありません。簡単にいうと暖機中は隙間の広い部分があるということです(暖機運転がとても重要な理由です)。 ですから、安定状態に至るまでのエンジンは、各部に留まるエンジンオイルの油膜性能がとても重要で、頼りなのです。 僕はクルマを … Read More… about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について(その2)
エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
省燃費性能を優先した0W-○○というエンジンオイルが主流になりつつある今、取扱説明書にこんな表記のあるお車をお預かりしました。 ターボ仕様の過給機付きエンジンで0W16!、自然吸気エンジンで0W8! 性能を適正に保つため指定銘柄の使用を薦めるとのこと。 脚注を見ると、指定銘柄が用意できない場合、0W20は使用可能とされていました。 少し前までは5W30の使用は認められていて、省燃費のためには低粘度オイルを使ってくださいということでしたが、この車種に限っては(今後の主流になると思いますが)メーカー指定から5W30以上の粘度のオイルは外されています。 エンジンオイルの粘度が下がると油膜が薄くなり、単純に金属摩耗が増えます。 超低粘度オイルには摩耗が少なくなるような工夫はされているでしょうが、省燃費と耐摩耗は相反する性質。基本的に両立は大変困難です。 以 … Read More… about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
繰り返す冷却系不調の意外な原因は(スバル サンバー TV2 オーバーヒート)
数年越しのエンジン冷却系不調(クーリングファン作動不良)の修理を終えたスバルサンバーは、下の記事掲載の後、小さい方のクーリングファンモーター交換も済ませ、エアコン、エンジン冷却に問題がなくなり5ヶ月が経過しました。 参考記事:数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 クーリングファンモーター作動不良) 平成22年式 EBD-TV2 EN07 5MT 走行距離 … Read More… about 繰り返す冷却系不調の意外な原因は(スバル サンバー TV2 オーバーヒート)
カムシャフト回転位相ズレの憂鬱(DBA-JH1 ホンダ N-WGN)
24ヶ月点検整備でお預かりしたホンダN‐WGNは、約2年前に中古車としてご購入された頃からエンジン警告灯(及び横滑り防止機構警告灯が仕組み上、同時点灯します)が点灯し、今回の継続検査には通過しない状態です。 融雪剤散布地域で使用されていた痕跡があり、エンジンオイルの交換管理もあまり良くないということを伺いました。中古車両としてはお客様のご使用用途的に十分なコストパフォーマンスとのことで、車検通過と費用に見合う状態の改善をご所望でした。 お買い求め直後にホンダ正規ディーラで警告灯点灯の診断をお受けになられたそうで、エンジン内部の回転軸の位相ズレ、すなわちバルブタイミングの異常を検出し、複数個所の原因が考えられると伝えられたとのこと。 その診断の際に一旦消去されていた警告灯は、ディーラの敷地を出て次の信号停止時にはもう再点灯しているような状況だったそうです。 回転 … Read More… about カムシャフト回転位相ズレの憂鬱(DBA-JH1 ホンダ N-WGN)
危険! エンジンルームからシューっと音が…(スズキ アルト DBA-HA24S 定期点検にて)
車検(継続検査)でお預かりしたスズキ アルト。 この型式のアルトも車齢が進み、こちらの車体は18回目の定期点検です。 より入念に点検を行う時期に差し掛かりました。 平成17年式 DBA-HA24S K6A 4AT 走行距離 … Read More… about 危険! エンジンルームからシューっと音が…(スズキ アルト DBA-HA24S 定期点検にて)
多発事例?シフトレバーがスカスカになって走行不能に(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ)
ダイハツの特定の車種でシフト操作が突然不能になる事例があります。 シフトレバーとトランスミッションを繋ぐワイヤーケーブルのシフトレバー側接続部の樹脂が劣化粉砕して物理的な接続が絶たれてしまうというものです。 平成19年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 160,000km 以前、当方で経験した事例は、遠方のお客様のご自宅駐車場でのシフト操作不能(走行距離は9万キロ程度)でした。 お近くの修理工場でワイヤー交換の処置を受けるも、複雑なワイヤーケーブルの取り回しが不適切で、シフト操作が円滑にできなくなり、最終的に僕が手直ししたというものでした。 シフトレバー操作感の回復(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ 4AT … Read More… about 多発事例?シフトレバーがスカスカになって走行不能に(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ)
数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 クーリングファンモーター作動不良)
エアコンがあまり効かないとご相談を受けたのは、ちょうど3年前です。 スバルの名車サンバーの自社生産が終了になって久しいのですが、現在も同車種はトラック、バン、ワゴンとも大変根強い人気なんだそうです。 ご相談のあった直前に中古で購入されたという状態の良さそうなサンバーは、走行距離5万キロ台ととても少なく、第一印象ではエアコン不調とは無縁のように思いました。 平成22年式 EBD-TV2 EN07 5MT 走行距離 … Read More… about 数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 クーリングファンモーター作動不良)
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
輸入車には、内装部品の表面塗装が劣化して酷い「ベタつき」が発生する車種があります。 クルマが新しいときは、しっとりとした手触りなのですが、直射日光に当たる場所に置かれた場合など、早いもので5年(2回目の車検時)、条件のよい環境でも9年(4回目の車検時)で、内装部品の手に触れる場所がベタベタと粘性を帯びてきます。 魅力的な輸入車はどうも薹(とう)が立つのが早いといいますか、国産車にはほとんど見られない代表的な劣化の一つです。 このベタベタは、酷いものになると粘着性の黒いものが手に付着し、その手で衣服や他の内装部品を触るので、知らない間に黒い汚れがあちこちに移って汚してしまうのです。何とかしようとウエスなどで拭き取ろうものなら最悪で、繊維が表面に絡まって見るも無残、余計に表面の状態が悪化してしまいます。 これはまさに始末に負えない劣化で、このベタベタが原因でお乗り換えにな … Read More… about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
国産車で概ね15年、輸入車だとその半分の7年ほどで、どれだけ丹念に手入れしていても、外観の劣化が色々現れてきます。 現在主流のポリカーボネート製ヘッドライトの黄変はその典型です。何度か記事でご紹介した通り、素材表面を研磨で整えることで、外観の甦りが比較的容易です。 黄ばんだヘッドライトをできるだけ綺麗にしてみた ところが部品に施した塗装(塗膜)が劣化した場合は、そう簡単ではありません。 例えば、こちらのミラーカバーは諸作業の合間や休憩時間に少しずつ再生を進めているものです。 2層塗装の上面側、クリア層が浮き上がって剥離しています。 塗装済みのミラーカバー単品の供給が受けられる車種はたいへん幸せで、部品交換で問題は解決しますが、残念ながらこちらのミラーカバーは単体の部品設定が無いうえ、サイドミラー全体の部品供給さえも終了していました。 とな … Read More… about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
魅惑の軽MT ダイハツ ミラ のクラッチ交換を終えて国産車の設計思想再考
手は油まみれ、腕は擦り傷だらけ、重ねて長時間の辛い姿勢になる自動車整備作業において、快適な「整備性」はとても重要な要素。 整備作業に日々従事する我々整備士に対して、エンジニアの親切や気遣いが感じられる嬉しい瞬間です。 メインで国産車ばかりを触っていると、辛いながら特に滞りなく目的の作業が進み、いかにもそれが当たり前に感じがちですが、輸入車、とりわけイタリア車に向き合う場合、作業の困難さに切歯扼腕することの多さといったらなく、国産車の配置構造は非常に高度な技術で、エンジニアの努力であり、エンジニア同士の譲り合いの大成なんだなと実感するのです。 さて、クラッチ異音でお預かりしたダイハツ … Read More… about 魅惑の軽MT ダイハツ ミラ のクラッチ交換を終えて国産車の設計思想再考
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炎暑下のエアコン修理 ~パレットMK21Sのエバポレータ交換と、昭和が遺したガスチャージャの記憶~
今年の夏も茹だるような連日の猛暑で、エアコン修理の台数は過去最高を記録しました。 正常に稼働しているエアコンでも車室容積の大きな軽自動車では冷房能力が不足気味なのに、少しの不調で全くエアコンが効かなくなると感じるほどです。 平成21年式 DBA-MK21S K6A CVT … Read More about 炎暑下のエアコン修理 ~パレットMK21Sのエバポレータ交換と、昭和が遺したガスチャージャの記憶~
イタリア車に見る基本構造の脆弱性(ワイパー作動不良、アルファ147セレスピード)
雨季に入って間もなく、運転席側のワイパーがグラグラしていて動作がおかしいと、アルファ147後期のオーナー様から連絡が入りました。 お天気が良くなったらお持ちくださいとお伝えし、ワイパーリンケージの不具合をWebサーチします。 平成18年式 GH-937AB ツインスパーク2.0L … Read More about イタリア車に見る基本構造の脆弱性(ワイパー作動不良、アルファ147セレスピード)
エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について(その2)
金属同士が擦れあうエンジン内部は、金属摩耗を完全に回避することはできません。 エンジン内部に循環するエンジンオイルは、金属同士の直接的な接触を低減し、摩耗を抑制する重要な役割を担います。 一番摩耗が起きるのは、冷間始動(コールドスタート)時です。 エンジンオイルがオイルポンプで吸い上 … Read More about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について(その2)
エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
省燃費性能を優先した0W-○○というエンジンオイルが主流になりつつある今、取扱説明書にこんな表記のあるお車をお預かりしました。 ターボ仕様の過給機付きエンジンで0W16!、自然吸気エンジンで0W8! 性能を適正に保つため指定銘柄の使用を薦めるとのこと。 脚注を見ると、指定銘柄が用意 … Read More about エンジンオイルの低粘度化傾向とエンジン摩耗、その対策について
繰り返す冷却系不調の意外な原因は(スバル サンバー TV2 オーバーヒート)
数年越しのエンジン冷却系不調(クーリングファン作動不良)の修理を終えたスバルサンバーは、下の記事掲載の後、小さい方のクーリングファンモーター交換も済ませ、エアコン、エンジン冷却に問題がなくなり5ヶ月が経過しました。 参考記事:数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 … Read More about 繰り返す冷却系不調の意外な原因は(スバル サンバー TV2 オーバーヒート)
カムシャフト回転位相ズレの憂鬱(DBA-JH1 ホンダ N-WGN)
24ヶ月点検整備でお預かりしたホンダN‐WGNは、約2年前に中古車としてご購入された頃からエンジン警告灯(及び横滑り防止機構警告灯が仕組み上、同時点灯します)が点灯し、今回の継続検査には通過しない状態です。 融雪剤散布地域で使用されていた痕跡があり、エンジンオイルの交換管理もあまり良くな … Read More about カムシャフト回転位相ズレの憂鬱(DBA-JH1 ホンダ N-WGN)
危険! エンジンルームからシューっと音が…(スズキ アルト DBA-HA24S 定期点検にて)
車検(継続検査)でお預かりしたスズキ アルト。 この型式のアルトも車齢が進み、こちらの車体は18回目の定期点検です。 より入念に点検を行う時期に差し掛かりました。 平成17年式 DBA-HA24S K6A 4AT 走行距離 … Read More about 危険! エンジンルームからシューっと音が…(スズキ アルト DBA-HA24S 定期点検にて)
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ダイハツの特定の車種でシフト操作が突然不能になる事例があります。 シフトレバーとトランスミッションを繋ぐワイヤーケーブルのシフトレバー側接続部の樹脂が劣化粉砕して物理的な接続が絶たれてしまうというものです。 平成19年式 DBA-L175S KF-VE 4AT 走行距離 … Read More about 多発事例?シフトレバーがスカスカになって走行不能に(DBA-L175S ダイハツ ムーヴ)
数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 クーリングファンモーター作動不良)
エアコンがあまり効かないとご相談を受けたのは、ちょうど3年前です。 スバルの名車サンバーの自社生産が終了になって久しいのですが、現在も同車種はトラック、バン、ワゴンとも大変根強い人気なんだそうです。 ご相談のあった直前に中古で購入されたという状態の良さそうなサンバーは、走行距離5万キロ台と … Read More about 数年越しのエアコン不調原因究明(スバル サンバー TV2 クーリングファンモーター作動不良)
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
輸入車には、内装部品の表面塗装が劣化して酷い「ベタつき」が発生する車種があります。 クルマが新しいときは、しっとりとした手触りなのですが、直射日光に当たる場所に置かれた場合など、早いもので5年(2回目の車検時)、条件のよい環境でも9年(4回目の車検時)で、内装部品の手に触れる場所がベタベタと粘性 … Read More about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その2)~
「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
国産車で概ね15年、輸入車だとその半分の7年ほどで、どれだけ丹念に手入れしていても、外観の劣化が色々現れてきます。 現在主流のポリカーボネート製ヘッドライトの黄変はその典型です。何度か記事でご紹介した通り、素材表面を研磨で整えることで、外観の甦りが比較的容易です。 黄ばんだヘッドライトをで … Read More about 「もう耐えられない!」~始末に負えない劣化を始末する(その1)~
魅惑の軽MT ダイハツ ミラ のクラッチ交換を終えて国産車の設計思想再考
手は油まみれ、腕は擦り傷だらけ、重ねて長時間の辛い姿勢になる自動車整備作業において、快適な「整備性」はとても重要な要素。 整備作業に日々従事する我々整備士に対して、エンジニアの親切や気遣いが感じられる嬉しい瞬間です。 メインで国産車ばかりを触っていると、辛いながら特に滞りなく目的の作業が進 … Read More about 魅惑の軽MT ダイハツ ミラ のクラッチ交換を終えて国産車の設計思想再考
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